犬の涙やけの原因とフードの見直し方|生活・ケアと受診の目安【獣医療の視点で解説】

執筆・編集: うちの子のかかりつけ編集部
犬の涙やけ(目の下が赤茶色に変色する状態)が気になるときは、まず「涙が多くなっている原因」を見極めることが先決です。フードの見直しは対策の一つになり得ますが、涙やけの背景には鼻涙管の詰まりや逆さまつげ、目の炎症といった病気が隠れていることもあります。フードだけで必ず解消できるものではなく、目をしょぼしょぼさせる・かゆがる・目やにが多いといったサインがあるときは、フードを変える前に動物病院で目の状態を診てもらうのが安心です。この記事では、犬の涙やけが起こる原因、フードとの関係、家庭での見直しポイント、そして受診の目安までを、結論からわかりやすく整理します。
まず結論:涙やけは「原因さがし」から。フードは対策の一つ
涙やけは、目からあふれた涙が目元の毛に染み込み、そこで細菌が繁殖して赤茶色に変色した状態です。トイプードル、マルチーズ、チワワ、シーズー、ポメラニアンなどの小型犬でよく見られます。大切なのは、涙やけそのものは「結果」であって、その手前に「涙が多くなる・あふれる原因」が必ずあるという点です。
フードの見直しは、消化不良やアレルギーが関係している場合には涙やけの改善をサポートすることがあります。ただし、生まれつき鼻涙管が狭い・目の周りの毛が目に入っている・目に炎症があるといった原因では、フードを変えても変化が出にくいこともあります。「フードを変えれば必ず治る」と考えず、まずは原因を切り分けるところから始めましょう。
犬の涙やけの主な原因
涙やけの背景には、涙が「作られすぎる」原因と、涙が「うまく流れない・排出されない」原因の両方があります。代表的なものを整理します(診断は必ず獣医師に委ねてください)。
| 原因(例) | 特徴 |
|---|---|
| 鼻涙管の狭さ・詰まり | 涙を鼻へ流す管が細い・詰まると涙があふれる。トイプードルやマルチーズは生まれつき狭いことがある |
| 逆さまつげ・まつげの異常 | まつげが眼球に当たって刺激になり、涙が増える |
| 眼瞼内反症(まぶたの巻き込み) | まぶたが内側に入り、毛や皮膚が目を刺激する |
| 目の炎症・傷(結膜炎・角膜潰瘍など) | 痛みや炎症で涙が増える。しょぼつき・充血を伴うことがある |
| アレルギー | 食物やハウスダストなどへの反応で涙・目やにが増えることがある |
| フードの消化不良・酸化 | 合わないフードや酸化した古いフードが体に負担となる場合がある |
| 歯や鼻のトラブル | 歯根の炎症などが鼻涙管を圧迫し、涙の流れを妨げることがある |
| 目の周りの毛・涙の拭き残し | 毛が目に入る、湿ったままの毛で細菌が繁殖し変色が進む |
このように原因は多岐にわたります。とくに鼻涙管の詰まりや目の炎症は、フードの見直しだけでは改善しません。だからこそ、フードを変える前に「なぜ涙が多いのか」を獣医師と一緒に確認することが、遠回りのようで近道になります。
フードと涙やけの関係:どこまで期待できる?
「フードを変えたら涙やけが薄くなった」という声は少なくありませんが、これはフードが涙やけを直接治したというより、体質や消化に合ったフードにすることで、体の負担や涙の質・量に良い方向のサポートが働いたと考えるのが現実的です。以下のような場合に、フードの見直しが役立つことがあります。
- 食物アレルギーが関係しているとき: 特定の原材料に反応して涙や目やにが増えることがある。獣医師と相談のうえ、原因になりにくい原材料のフードを試す
- 消化に負担がかかっているとき: 消化しやすい良質なたんぱく質を中心にしたフードで、体調の安定をサポートする
- フードが酸化・劣化しているとき: 開封後は密閉して早めに使い切る。古い油の酸化は体の負担になり得る
- 添加物が気になるとき: 過剰な着色料などを避けたシンプルな設計のフードを選ぶ
反対に、鼻涙管が生まれつき狭い、逆さまつげがある、目に炎症があるといった原因では、フードを変えても大きな変化は期待しにくくなります。フードの見直しは「体の内側からのコンディション維持をサポートする一手」と位置づけ、原因に応じたケアや治療と組み合わせて考えましょう。
涙やけが気になる犬のフードの選び方
フードを見直すときは、次のポイントを目安にすると選びやすくなります。いずれも「健康的な毎日を食事の面から支える」ための視点です。特定のフードで必ず涙やけが解消すると約束するものではありません。
| チェックポイント | 見るべき理由 |
|---|---|
| 主原料が明確な良質たんぱく質か | 消化のしやすさと体づくりの土台になる |
| 原材料がシンプルか | アレルギーの原因を見つけやすく、切り分けがしやすい |
| 愛犬の体質・年齢に合っているか | ライフステージや体格に合った栄養設計を選ぶ |
| 新鮮な状態で管理できる容量か | 酸化を防ぐため、食べきれるサイズを選ぶ |
| 総合栄養食の表示があるか | そのフードと水で日々の栄養バランスを保てる |
アレルギーが疑われる場合は、自己判断で次々にフードを変えるのではなく、獣医師と相談しながら一定期間で反応を見ていくのが基本です。フードを切り替えるときは、今までのフードに少しずつ新しいフードを混ぜ、7〜10日ほどかけてゆっくり移行すると、おなかへの負担を減らせます。
毎日の食事から愛犬の健康維持をサポートしたい方に向けて、素材にこだわったプレミアムフードという選択肢もあります。下記は良質な原材料で設計されたフードの一例です(原材料・ラインナップの詳細は公式サイトでご確認ください)。
フード以外に見直したい生活・ケアのポイント
涙やけ対策は、フードだけでなく日々のケアや生活環境を整えることも大切です。次のような工夫が、目元を清潔に保ち、変色の進行をゆるやかにするサポートになります。
- 目元をこまめに拭く: 濡れたコットンやペット用のふき取りシートで、涙をやさしく拭き取り乾かす。湿ったままだと細菌が繁殖しやすい
- 目の周りの毛を整える: 目に毛が入らないよう、無理のない範囲でトリミングして清潔に保つ。カットはトリマーや動物病院に相談すると安心
- 飲み水を清潔に: 新鮮な水をいつでも飲めるようにする。水入れも定期的に洗う
- ハウスダスト・煙を減らす: 空気中の刺激は涙を増やす一因になり得る。こまめな掃除や換気を心がける
- ストレスを減らす: 生活リズムを整え、落ち着いて過ごせる環境をつくる
これらのケアは、フードの見直しと並行して行うことで相乗的なサポートになります。ただし、目をかゆがる・痛がる、目やにが黄緑色といったサインがあるときは、家庭のケアだけで様子を見ず、早めに受診してください。
受診の目安:こんなときは動物病院へ

涙やけは「美容上の問題」として様子を見ることもありますが、その裏に治療が必要な目の病気が隠れていることがあります。次のようなサインがあるときは、フードを変える前に動物病院で目の状態を診てもらいましょう。
| こんなサインがあれば受診 | 考えられる背景(例) |
|---|---|
| 目をしょぼしょぼさせる・細める | 角膜や結膜の炎症、痛みの可能性 |
| 目を前足でこすったり床にこすりつける | かゆみ・痛み・異物のおそれ |
| 白目が赤い・充血している | 結膜炎などの炎症 |
| 目やにが黄緑色・量が多い | 感染や炎症が進んでいる可能性 |
| 急に涙の量が増えた・片目だけ症状が強い | 異物・傷・鼻涙管トラブルなど |
| 目の表面が白っぽい・にごって見える | 角膜のトラブルの可能性 |
とくに「目を痛がっている様子」があるときは、角膜潰瘍など進行性の病気が隠れていることもあるため、早めの受診が大切です。いま診てもらえる病院を探したい方は、お住まいの地域から動物病院を検索できます。はじめての受診で不安な方は初めての動物病院・受診前チェックリストも参考にしてください。
動物病院ではどんなことを診てもらえる?
涙やけや流涙症で受診すると、獣医師はまず「涙が多い原因」を調べます。事前に流れを知っておくと、当日落ち着いて相談できます。
- 問診: いつから、片目か両目か、目やにの色、かゆがるかなどを確認。写真や動画があると伝わりやすい
- 目の検査: まぶたやまつげの状態、涙の量、角膜に傷がないかなどを調べる
- 鼻涙管の確認: 涙の通り道が詰まっていないかを調べることがある
- 必要に応じた処置・治療: 炎症があれば点眼、まつげや眼瞼の異常があればその治療、鼻涙管の詰まりには洗浄などが検討される
原因がフードや体質にあると考えられる場合は、食事の見直しについてもアドバイスをもらえます。かかりつけの獣医師がいると、こうした相談や経過の観察がスムーズです。まだ決まっていない方はかかりつけ動物病院の選び方もあわせてご覧ください。
犬種による涙やけの傾向
涙やけの起きやすさは、犬種による顔の構造の違いも関係します。あくまで傾向であり、最終的な判断は獣医師によりますが、日ごろの観察の参考になります。
| タイプ | 傾向 |
|---|---|
| トイプードル・マルチーズ | 生まれつき鼻涙管が狭い・詰まりやすいことがあり、涙やけが目立ちやすい |
| チワワ・ポメラニアン | 目が大きく涙があふれやすい。目元の毛の刺激にも注意 |
| シーズー・ペキニーズ(短頭種) | 顔の構造上、目が乾きやすく涙が増えることがある |
| 被毛が白い犬種全般 | 変色が目立ちやすく、涙やけが気になりやすい |
トイプードルがかかりやすい病気全般についてはトイプードルがかかりやすい病気でも触れています。白い被毛の子は変色が目立つぶん、こまめな目元ケアが見た目の印象を保つのに役立ちます。
涙やけと間違いやすい状態・見分けのヒント
目元の変色や涙の増加は、「よくある涙やけ」と思っていたら別の状態だった、ということもあります。次のような違いを知っておくと、受診すべきかどうかの判断に役立ちます。
| 状態 | 見分けのヒント |
|---|---|
| いわゆる涙やけ(流涙による変色) | 目に痛みやかゆみがなく、目元がじわっと湿って赤茶色に変色。左右両方に見られることが多い |
| 目やに(感染・炎症) | 黄緑色や粘り気のある目やにが増える。充血やまばたきの増加を伴うことがある |
| 片目だけの涙・症状 | 異物・傷・逆さまつげなど、その目に固有の原因があるサイン。早めの受診が安心 |
| 口元・あごの変色 | よだれによる「よだれやけ」のことがある。涙やけとは原因が異なる |
とくに「片目だけ症状が強い」「急に涙や目やにが増えた」ときは、涙やけとして様子を見るより、まず受診して原因を確かめるのが安全です。フードの見直しは、こうした急性の症状が落ち着き、原因が体質や消化にあると分かってから取り組むのが順序として適切です。
目元ケアの具体的な手順
日々の目元ケアは、変色の進行をゆるやかにし、清潔を保つうえで役立ちます。犬が嫌がらないよう、やさしく短時間で行うのがコツです。
- 準備: ぬるま湯で湿らせたコットンや、ペット用のふき取りシートを用意する。ゴシゴシこすれる乾いたティッシュは避ける
- 拭き取り: 目頭から目の下にかけて、毛の流れに沿ってやさしく押さえるように拭く。目そのものには触れない
- 乾かす: 拭いたあとは、乾いた柔らかい布で軽く水分を取る。湿ったままだと細菌が繁殖しやすい
- ごほうび: ケアのあとに軽くほめる・なでるなどで、目元を触られることに慣れてもらう
- 頻度: 涙が多い子は1日1〜2回など、こまめに。赤みや痛がる様子が出たら中止して受診する
目の周りの毛が長くて目に入ってしまう場合は、無理に自分でカットせず、トリマーや動物病院に相談すると安全です。デリケートな部位なので、慣れない道具での自己流カットはケガのもとになります。
フードを切り替えるときの進め方と注意点
涙やけ対策でフードを見直すときは、切り替え方にもコツがあります。急に全量を変えると、おなかを壊して逆に体調を崩すことがあります。
- 7〜10日かけて少しずつ: 初日は新フード1割、以降ゆっくり割合を増やす。便の状態を見ながら進める
- 一度に一つだけ変える: 同時にいくつも変えると、何が体に合っているか判断できなくなる
- 2〜4週間は続けて様子を見る: 数日で結論を出さず、一定期間で変化を観察する
- 記録をつける: 便・涙の量・目元の様子をメモしておくと、獣医師への相談に役立つ
- 合わないサインに注意: 下痢・嘔吐・かゆみが出たら中止して受診する
胃腸がデリケートな子のフード選びはお腹が弱い犬のフードの選び方も参考になります。消化への負担を減らすことは、涙やけ対策の土台づくりにもつながります。
よくある質問
フードを変えれば犬の涙やけは治りますか?
フードの見直しは、消化不良やアレルギーが関係している場合には涙やけの改善をサポートすることがあります。ただし、鼻涙管の詰まりや目の炎症など別の原因では、フードを変えても変化が出にくいことがあります。「必ず治る」と考えず、まず原因を獣医師と確認しましょう。
グレインフリー(穀物不使用)にすれば涙やけは減りますか?
穀物がアレルゲンになっている子では、グレインフリーが合う場合があります。ただし、すべての犬に効果があるわけではなく、穀物が原因でない子には関係しないこともあります。アレルギーの有無は自己判断せず、獣医師に相談して確認するのがおすすめです。
涙やけは放っておいても大丈夫ですか?
変色だけで目に異常がなければ様子を見ることもありますが、目をしょぼしょぼさせる・かゆがる・目やにが多いといったサインがあるときは、目の病気が隠れていることがあります。その場合は早めに受診してください。
市販の「涙やけ対策」と書かれたフードなら安心ですか?
「涙やけ対策」とうたうフードでも、効果には個体差があり、原因によっては変化が出ないこともあります。表示だけで判断せず、原材料や愛犬の体質に合うかを確認し、迷ったら獣医師に相談しましょう。
目元のケアは毎日したほうがよいですか?
涙で目元が湿ったままだと細菌が繁殖し、変色が進みやすくなります。濡れたコットンなどでやさしく拭き取り、乾かしてあげると清潔を保ちやすくなります。強くこすると刺激になるので、やさしく行いましょう。
サプリメントは涙やけに使ってよいですか?
体調維持を目的にしたサプリを検討する場合も、まず原因の確認が先です。持病や服用中の薬がある子では相性もあるため、与える前にかかりつけの獣医師に相談すると安心です。
出典・参考情報
- 犬の「涙やけ」…原因や対処法、予防法を解説【獣医師監修】(アニコム損保・犬との暮らし大百科)
- 犬の流涙症の症状と原因、治療法について(PS保険・獣医師解説)
- 犬の「涙やけ」の原因から対策方法まで詳しく解説【獣医師監修】(ピースワンコ・ジャパン)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、獣医療行為・診断に代わるものではありません。フードの見直し・アレルギーの判断・目の症状の治療は必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。掲載の商品・サービス内容は変更される場合があります。

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